自動車部「FIA Electric & New Energy Championship ソーラーカーレース鈴鹿2021」クラス5位(総合12位)に!!

同大付属中学・高校の自動車部は、同大ソーラーチームの監修の下、7月30~31日に三重県鈴鹿市で開催された「FIA Electric & New Energy Championship ソーラーカーレース鈴鹿 2021」に初出場し、総合12位、ドリームクラス5位となった。

今年、初めて参戦したこのレースでは、「完走しよう!」が目標だったそうです。

私達は現地に行かれないので学校の入り口正面モニターで中継を放映し、デスクでも中継を観る準備をしました。

島田先生から朝のミーティングをしている様子が送られてきて、「いよいよだな!!」と私達もドキドキしていました。

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朝ミーティングの様子

レースがスタートしたのは正午12時、八王子もとても暑かった。。「これから5時間?ドライバー3人だから一人1時間ちょっと?!大丈夫かしら_」とどうすることもできない心配をしていました。後で島田先生に聞いた話しによるとやはり想像以上の暑さだったようで、あまりに暑かったのでフロントの部分に急遽穴をあけたとのことでした(余談)。

そのような中でもだれも体調を崩さずにそして怪我することなく完走したことを嬉しく思いました。

 

今年は高校校舎アトリウムで自動車部のメンバーがソーラーカーをメンテナンスしている姿をよく目にしていました。そして工学院大学ソーラーチームの監督を務める同大機械システム工学科の濱根洋人教授がアトリウムで一緒にメンテナンスしている姿もたびたびみかけました。

news.yahoo.co.jp

濱根先生は、当日の運搬用トラックの運転までしてくださったとか、、生徒達のために数々ご尽力いただき本当にありがとうございました。

 

つなぎ姿で大学生とアトリウムで活動する姿は、他の生徒からも特別に映ったのではないでしょうか。私からは日頃の姿とは違って大人っぽく見えたことが印象的でした。

それはメンテナンスや調整の際には、本大学の施設を利用することもあり、最新の設備に触れて作業をすることでたくさんの刺激を受け新しい発見をし、このレースに参加するという経験が彼らを成長させたからなのかなと感じました。

また、大学生と一緒に活動することで近い将来(進学)への関心もより高まるよい経験だったのではないかと思いました。

本校は道路を挟んで大学キャンパスがあり、同じ敷地といってもよいような立地となっています。このコロナ感染症拡大の影響で自由に交流とはいきませんが、通常であれば積極的な交流が持てるような環境にあります。

今後はソーラーカーのようにチームで大学生と取り組んだり大学生の研究を目にしたりすることで影響を受け、本校の中高生も今後の将来を広く想像できるようになったら良いなと思っています。

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話をソーラーカーレースに戻します!
今回、参加したメンバーは・・・
ドライバーに高校3年生四條さん、中村くん、高校2年生落合くん。
電気系メカニックに高校3年生星野くん、高校2年生石原くん。
カニックに高校3年生林くん、田川くん、島崎くん、高校2年生須合くん。
誘導に高校2年生島田くん 以上10名が参加しました。

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それぞれが緊張をもって各自の仕事をこなしていたのだろうなと想像するだけで胸が熱くなります。みんなで協力してやりとげた満足感や達成感は想像以上だったのではないかなと思います。

 

第一ドライバーの落合君は「チェッカーフラッグを受けたときは緊張感が解けるとともに達成感でいっぱいでした」とコメントしていました。

応援していた私達もこのような経験ができる事を羨ましくそしてやりとげた彼らを誇らしく思います。

第2ドライバーの中村君はブレーキなどの足回りを担当していたようで、ブレーキに不安があったが直前には大学生にサポートしてもらったが、多くの時間思考錯誤してきたことで本番では無事な走行ができた」とコメントしていました。

彼らの放課後の活動を目にしているので納得のコメントでした。

第3ドライバーの四條さんは「実は直前まですごく緊張して全然落ち着けなかったが、ずっと一緒に頑張ってきた仲間がいたから安心して大会に挑めた」とコメントしていました。

ドライバーの四條さんは、中学特進理数クラス出身で自動車部入部の頃は女子が3人いたように記憶しています。高校に進学した時には唯一の女子となりましたがここまで頑張り高校最後のレースでドライバーとして活躍したこともとても素晴らしいと思いました。

ほんとに「仲間がいたから」のコメントはその通りで、ずっと頑張って続けてきたからこそできた「信頼のおける仲間」だったのではないでしょうか。

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私はその他のメンバーも関わり合いが多く、中学から一緒に放課後の活動をしてきたメンバーや、高校ICT委員会で活躍しているメンバーもいます。

自動車部のメンバーはメカだけでなく、情報活用能力やプログラミングにもたけており、さらに電子工作などのモノづくりも大好きなメンバーです。プロジェクトを行う上で必要なものがあれば今あるツールをどのように活かすことができるか、インターネットなどを使い調べ実行します。

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電気系メカニック高校3年生の星野くんは、私がどんなツールを管理しているか知っていて「自動車部で使いたいのですが、ラズパイ貸してもらえますか?」とか「こんなパソコンを使いたいのですが、使えるパソコンありませんか?」という相談をしてきたりします。私が「なにに使うの??」と質問すると「~に使おうかと思って!」とちゃんと説明してくれるので納得して貸し出します。ほんとに生徒の活用アイデアを聞くと勉強になるなといつも感心させられます。

今回星野くんは、ソーラーカーの位置情報を確認するためのシステムを作り、そのシステムはピットに到着するタイミングを確認し交代などの場合はピットで迎えるための準備に活躍したそうです。最後の5分はwi-fiがつながらなくなってしまったとか・・・なんだかそのアクシデントもありですね。また次への課題が見つかります。

ドライバーの落合くんは、自動車部の部長でもあり高校ICT委員会の委員長でもあります。

レース準備と並行して夢工祭準備もしていましたが、どちらの活動も責任感を持って活動してくれています。

その他、昨年高校ICT委員会で書記を担当してくれていた高校3年生の林くんはメカニック、今年度高校ICT委員会でホームページの作業を担当してくれている高校2年生の石原くんは電気系の担当でした。

チームワークを大事にするメンバーだからこそ、生徒組織の中でも責任感を持って取り組めるのかもしれません。

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最後に、今年3月に卒業した郷野先輩がカメラマンとして駆けつけてくれていました。

Twitterの写真をみて「ん?郷野君行ったの?」とびっくりしました。

郷野くんに撮影した写真をブログに使いたいと申し出た時も心よく了解してくれました

在校中もイベントがあると積極的に出向き写真を撮ってくれていました。本当に後輩思いの素敵な先輩だと感じます。

現在は本校にチューターとして週2回勤務してくれており、その際にも在校生が放課後の活動をしているとやさしく声をかけてくれます。在学中にお世話になった後輩達も大学生になった郷野先輩とコミュニケーションをとることで改めて得られるものもあるのではないかと思われます。

何より私は、先輩にあこがれ背中を見て後輩が育っていくその景色を見られることがとてもうれしく思っています。

写真撮影の腕もさらに磨きがかかり、どの写真もベストショットです。

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このソーラーカーレースは、残念ながら今年で終了となり来年度に再チャレンジすることはできませんが、まだまだ活躍の場はありそうです。

https://hachioji.keizai.biz/headline/3250/

 

今回の経験をもとにもっともっと飛躍してくれることを楽しみにしています。

 

 

家庭科×Onenote

こんにちは。家庭科の授業でのOnenoteの使用例をお話ししたいと思います!


【分野】 家族・家庭、保育

【対象】 高2 家庭基礎 全クラス(約280名)
【内容】 調べ学習をしてPowerpointにまとめ、Onenoteに自分のページを追加して、

     投稿し共有する。その後、班ごとに発表を行う。

【テーマ】授業で習った、家族に関する話、男女のあり方、民法、保育、子どもの発達

     などの中から、より興味を持ったもの、深堀りしたいと思ったものについて

     何でもいいので調べてみる。

【時間】 授業内容の説明と調べる時間込みで、授業時間2時間として設けました。

     次週発表だと伝え、仕上がらなければ宿題。もしくは、作成が思うようにい

     かず難しければ友達の投稿を見て何かヒントを得るように。

 

【効果】 友達の投稿を見られるため一度に大量(同じ学年全員)の情報を共有できる。

     自分が知りたいこと、興味があること(←ココ重要!)が分かる。

     パワポの見せ方、作り方、上手な発表の仕方とは何かが勉強できる。

 

やはり、

「自分が知りたいこと、何それ?どういう意味?じゃあこういう時はどうなの??」

を考える力はいいですね。どんどん手が動きます。教員が話したことが全てではない。自分が思ったこと、疑問点の解消、そしてより詳しい内容を自分で発見していくことが、知識の深化に繋がります。

また、発表にもやはり意味があります。今回は小グループごとに発表し、一番スライドが上手かった人に前に出て発表してもらう、という形式をとりました。さすが、得意な人の発表は目を見張りますし、自分のキャラクターを前面に出した話し方の人も、聞く人の心を惹きつけます。興味を持つ→考える→まとめる→伝えるの流れは教科関わらず今後も何度もあると思うので、その練習になればいいなと思うのです。

 

デジタルな世界を生きる彼らは、今後必ずと言っていいほどICTを駆使せねばならず、さらに人前で話す機会も益々増えるでしょう。話すのが嫌、前に出たくない、と言っていては、いつまでたっても慣れません。緊張するだろうけど慣れるしかない、場数をこなそう!そんな話をしながら。。。インプットした内容をどう相手に伝えるか、知った情報だけではなく、それに対してどう思ったか、その課題を自分だったらどうするか、アウトプットの勉強としても今回の授業としての意味があったのかな、と思います。

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↑↑↑彼らは高1の時にOnenoteを使ったことがあるようですが、一応念のため一番トップの所にページの追加の仕方やファイル挿入のやり方を載せてみました。その他は全て生徒たちに自分でページを追加して、自分の提出先を用意してもらっています。

 

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↑↑↑「子どもはなぜピーマンが嫌いか」「家族にベストな自家用車とは」「赤ちゃんが泣いても涙が出ないわけ」など、なるほどそうくるか!というような内容から、「保育士が不足しているのはなぜ」「各国の子育ての違い」「コロナと待機児童」など、世の中の現状などから課題を選定している生徒もいました。

 

注意点としては、学年全体を公開してしまっているがゆえに、ロックをかけていません。ので、人の物を誤って消したり、動かしたりできてしまう、のが難点ですかね。記入者を表示させて、相互に感想を入れ合ったり、友達の物を覗くことができるのはいいですが、間違いが起きないとも限りませんので、注意が必要です。

 

今後もこのスペースに書き込む形で、次の分野の勉強を進めていこうと思います♪

(次は夏休みの宿題提出ですかね~ 笑)

 

 

部日誌を電子化

OneNoteを使用して、部日誌を電子化しました。

コロナ禍で全体練習がなかなかできない中、ミーティングの材料やチームの現状、情報の共有などできないかと考え導入しました。全体で集まれなくてもデータがあれば、zoomなどのオンラインミーティングでも活用できます。

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全体練習では仲間の動きや考えをすぐに共有することができますが、自宅にいるとそうはいきません。また指導者側としても全体の把握をするのは容易ではありません。ですがOneNoteを開けば、今日1日の活動内容も確認でき、全体でのミーティングの日でもここまでどのような取り組みをしてきたのか。今後の目標に対する取り組みはどのようにするかなど、思い付きではなく、チーム全体で確認しながら取り組むこともできます。

 

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今後コロナの影響がどの程度変化していくかわからない状況で、今だからこそ出来ることもあると思います。コロナだからできないということもあるかもしれませんが、この厳しい状況でこのようなこともできたということを増やし、今後も活動していければと思います。大会に向けていい結果が出せるよう、選手一同邁進していきたいと思います!

 

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相互評価で作る創作小説集

こんにちは。

今回は中学2年生を対象に、GWの課題として創作小説を書いてもらいました(と、言いますか、まさに現在進行形で進めているところです)


事の発端は、国語に苦手意識を持つ生徒が多く、現に苦手な生徒が多く、やはり本や文字との距離に遠さを感じたことです。
自分自身も中学生のときに、本はなんだかお堅いもの、趣味で活字を読むなんて……と思っていたため、その気持ちはよく分かります。
そこで、同級生が書いたものであれば読んでみたいのではと思いました。
また、お互いに読み合って、忌憚なく評価し合えれば面白く、少し国語にも興味がわくのではというのが、きっかけです。

 

ただ一般に生徒の提出物、特に作文等は個別のフィードバックを要する場合、以下の課題があります。

・教員が一つ一つを素早くチェックすることが難しい。
・教員一人の評価では、客観的な判断を出来ない部分がある。

 

そこで、今回はICTを用いて、教員はそこまで手をかけず、生徒同士で小説の相互評価を行うことに重きをおいて実施してみます。

これには、以下のような利点があります。

・生徒全員が、評価することで教員が評価するよりも効率的である。
・複数の生徒が一つの作品を評価することで、客観性が生まれる。
・生徒が、複数の同級生に評価されることを意識することで、課題に対しての責任感が生まれる。
・小説に対して興味のない生徒も、同級生が自分と同じように書いた小説を読むことで、小説に対して関心を持つ。

 

なお今回使用したアプリは、OneNote、Forms、Excel、Word、OneDriveになります。
たくさんのアプリを使いますが、使う機能はいずれもごく単純なものです。

 

まず初めに授業で使っているOneNoteのクラスノートブックで、課題の条件を書いたページ配付を行います。
このページ上に、生徒に小説を書いてもらいます。
ただいきなり小説を書くことは、なかなか大変です。
そこで、今回は落語の三題噺を参考に、学年の先生方から、小説に使って欲しい言葉のキーワードを募集し、そのなかから3つの言葉を使って、400字以上2000字以内という条件をつけました。
また、事前にネット上の短編小説をいくつか紹介し、参考にしてもらいました。

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次に提出期日が来てから、しばらくしてから評価基準を示し、誤字・脱字を含めて、自身で読み直してOneNoteのページを修正してもらいます。
(本来、評価基準を予め示しておいたほうが良いです)

 

これと並行して、評価者情報と評価を入力するためのFormsを作成します。

評価基準はルーブリックになっているので点数を選択し、最後に簡単なコメントを入れてもらうだけなので、入力は5分程度で出来る作りになっています。

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そして、すべての小説を誰が書いたか、また誰が評価者分からない状態にするため、各生徒に番号をつけ、さらにどの番号の小説を評価するかを、ランダムに決めます。
今回は、一人が評価する小説を最低3つに絞ります。
これには、ExcelのRAND関数を使って、自分の小説の番号1つと、自分が評価する小説3つの番号を、ランダムに番号をふります。
また、IF関数で一人のうちで4つ番号が重複していないかチェックします。 

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このExcelの情報をWordの差し込み機能で流し込み、名前と、自分が評価しなくてはならない3つの小説の番号をふったプリントを用意します。

 

生徒の小説が出来上がったら、OneNoteに書かれたページを確認していきます。
体裁が整っているものをコピーし、予め書式を指定したWordにペーストして、すべての小説を一つのデータにまとめPDF化します。
(ただし、この作業がとても大変です)

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このPDFをOneDriveに保存し、編集権限やダウンロードが出来ない設定で共有します。
そして、OneNoteのページに、データの共有リンクと、さきのFormsのリンクをはりつけます。
OneNoteにデータを直接はっても良いと思いますが、データの重さが気になりました)

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これによって、生徒はOneNoteのページを確認しながらFormsに、小説の評価を3本文入力してもらいます。
もちろん3本文以上入力しても構いません。

 

生徒からの評価がすべて完了したら、Formsから作られた評価情報のExcelから、評価者に関係する情報を抜いたものを、OneNoteにはります。
これによって自分の小説の評価をはじめ、他の小説がどのように評価されているのか、例えば自分が評価した小説が他の人から、どのように評価されたのかも分かります。
この評価をふまえて、さらに修正を加えてもらうことで、最初よりも推敲された小説が出来ます。
この推敲された小説を、もう一度作品集としてまとめます。

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これらは紙に出力したもの、ePub化して電子書籍にしたものを、それぞれ用意します。
そして、最終的にもう一度、別の作品を生徒たちは評価します。
この段階で、教員側もはじめて小説作品を、生徒と同じ評価基準で評価していきます。
これによって、誤りが少ないものをチェックしていくことになるので、負担は軽減されます。

 

紙でこれらを全て実施する場合、相互評価にかかる手間や、筆跡や誰が書いたのか分かってしまうという秘匿性の問題が生まれます。
しかし、ICTを使用することで、これらの問題を解決出来るといって良いでしょう。

 

また、小説の投稿自体を、Formsで行うことで、Wordへのコピーの簡略化も可能です。
ただし、小説のような長文の場合、Formsの入力スペースか小さく作品全体を俯瞰しづらい、Formsに打ち出していくことが馴染まないという問題も出てくると思います。

 

ただし、今回の方法の場合、作品を一つのWordファイルにまとめていく過程を自動化できないという負担は大きいです。
この部分は紙を使い、所定の原稿用紙に書かせたうえで、紙をスキャンしてデータ化するほうが簡単かもしれません。
また、漢字等の学習のために紙に書いてもらうことも有効だという考えも頷けます。
ただその場合、生徒が原稿を修正する際の手間であったり、やなり筆跡から生徒の特定がしやすくなるという問題も出てくるように思います。

 

どの部分までをICTに頼るかは、準備に要する手間と、期待される生徒への学習効果を考えるということが、重要になってくるだろうと思います。
これらは、生徒の実情や、教室での学習環境、想定される未来の社会状況にも左右されるところだと思います。
ただすべてを紙で行うよりも、教員も生徒もいくらかは効率的であることは確かだと思います。
ICTの利用は、一つの手段として取り入れられる部分は取り入れていきたいものです。

高校古典でのOneNoteの利用

こんにちは。

今回は、先日「Japan EduDay:高校でのパソコンの利活用事例を一挙公開~ここまで使えるWindows PC~」(以下参照記事)でも、簡単に紹介した高校古典におけるOneNoteの利用について紹介したいと思います。

 

reseed.resemom.jp

 

ICTと古典は、あまり馴染みがないように思われますが、OneNoteをいわゆる普通のプリントだと思って使えば、特に違和感なく、導入することが出来るかと思います。

 

私が授業を行ったのは、昨年度の高校1年生の古典です。

高校1年生の古典となると、必要になるのは用言の活用形や活用種類など、品詞分類の基礎的な部分に慣れてもらわないといけません。

そこで、OneNoteのクラスノートブックを使って、生徒のプライベートスペースに配付したページは、以下のようなものです。

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上の画像は、「和歌の修辞」について簡単にまとめたページ、下の画像は『古今和歌集』のワークシートです。

 

生徒が埋めていくワークシートでは、歌には用言と助動詞、係助詞について色分けし、和歌の修辞については下線を引きました。

また、その下には現代語訳や、用言それぞれの活用形や活用の種類、古文単語の意味を入れる箇所を作ってあります。

このワークシートを使って、生徒はそれぞれにページに必要な情報を入力していきます。

個人で黙々と取り組んでも良いですし、分からない部分は協力してもOKです。

その後は、ホワイトボードにOneNoteのページを投影して、マーカーで書き込みながら説明していきました。

 

このように中身については、通常のノートやプリントと変わりません。

むしろ、品詞がカラフルに色分けされることで、視覚的に見やすいと言っても良いかもしれません。

そして、この「視覚的に見やすい」というのは、意外と重要なポイントなのではないかと思っています。

  • プリントの場合、傍線やマーカーの種類にも限界がある。
  • 全体を通して、品詞の偏りが色で分かり、歌ごとに覚えるべき品詞が多寡も分かりやすくなる。
  • 見た目が華やかである。

今回は、生徒が古典もOneNoteも慣れていない状態だったので、この色分けについては、慣れてくれば生徒自身が行うという課題も良いと思います。

そして、この見た目の華やかさは、どうにも地味なイメージがある古典を、しかも品詞分解をしていくという単純作業を、少しでも彩る意味でも良いのではと思います(空いたスペースに、ちょっとしたイラストを載せても良いと思います)

 

また、先生も生徒もOneNoteの使い方に慣れてきた場合は、共同作業スペースを使い、グループを作って共同作業してもらいました。

今回は、授業で扱うすべての和歌を上の形式で1ページにおさめたうえで、以下のようにグループごとに各自でページを作ってもらう形を取りました。

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理由としては、

  • グループごとに予めセクションを分けて、権限を切り分けることも可能だが、意外と準備に手間が必要になる。
  • 予め一首ごとにページを分けて作るのは、やや手間がかかる。
  • 生徒にページを実際に作成してもらうことで、OneNoteの使い方を学べる。

の三点です。

そこで、グループの代表者が最初にページを作り、タイトルには自分たちの名前を入力してもらい、自分たちが担当する和歌をコピーして作業に取り組んでいもらいました。

なお完成後は、グループ毎にそれぞれのページを投影して、私の代わりに説明をしてもらいつつ、誤った箇所は訂正を加え、簡単な質疑応答を行いました。

 

そして、単元の仕上げとして、いくつかの問題を入力したFormsを、OneNoteに貼り付けました。

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今回は試験直前となってしまったため、各自で課題として取り組んでもらう形をとりましたが、授業日数に余裕がある場合は、Formsの回答画面を映しながら、苦手な部分を復習しておくと良さそうです。

 

Formsでの集計を除き、これらのページは、ほとんど従来の紙のプリントで代用出来るものかと思います。

ただし、

  • 色を自由に使える。
  • 大量のプリントを刷り、運び、配る必要がなくなる。
  • 生徒の作業状況を、リアルタイムでどこでも確認できる。
  • 生徒がデジタルノートに慣れる。

というのは、OneNote使用による利点かと思います。

また、プリントと似ているからこそ導入しやすく、初めてOneNoteを使う生徒や、先生も感覚的に使いやすいというのも良い点です。

発表も、教員のあるいは生徒のPCを使って、画面をそのまま投影すれば良いので、新たにPowerPointを作る必要もなく簡単です。

 

唯一難点をあげれば、OneNoteが縦書きには対応していないという点です(表機能や画像添付でカバーは出来ますが)

やはり国語の、しかも古典のため、縦書きのほうがイメージがつきやすいというのは、教員としても、また生徒としても否めないところのように思います。

この点に抵抗がなければ、ぜひ使ってみることをおすすめします(今後OneNoteの縦書き対応を願ってやみません)

Forms / テキストマイニングツール / Excel+E2D3 を利用したブレインストーミング手法

こんにちは。

 

今回もタイトルがてんこ盛りでございますが、

端的に言うとICTツールを駆使してブレインストーミングをしてみたという実践報告です。

 

生徒から出てきた意見をこんな感じに word cloud にまとめることができました。

 

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図1:完成した word cloud

 

 word cloud を作る、というと Mentimeter を思い浮かべる方が多いかと思いますが、

この方法で作成した word cloud は Mentimeter で作ったものと違い、中身を自由に編集できることが特徴です。

 

なので、ブレインストーミングの作業で必要となる「似ている意見をまとめること」や、「不要な言葉を cloud から削除すること」を容易に行うことができます

 

 


具体的な状況や方法を以下にまとめます。 

 

中学3年生を対象に「リーダー」をテーマに道徳の授業を行いました。

その導入部分として「リーダーに必要な要素って何だろう?」と生徒に問いかけ、ブレインストーミング形式で意見を集約することを考えました。

 

しかし、このご時世、ふせんなどを用いた従来のブレインストーミングでは、生徒同士が密接しての作業になってしまうことが予想されます。

 

そこで、以下の手順でブレインストーミングを行ってみました。

 

【手順】

MIcrosoft Forms で生徒から意見を集める

生徒に「リーダーに必要な要素」を思いつくまま回答するよう指示しました。

その際「1要素1回答」「同じものを何回も回答して構わない」という指示も出したことを加えておきます。この指示が後で効いてきます・・・。

 

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図2:Formsの回答ページ

 

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図3:25人程度のクラスですが、5分間で250件近い回答が集まりました。

 

FormsからExcel形式で出力された生徒の回答を「textjoin関数」でまとめる

生徒が回答した「リーダーに必要な要素」を1つのテキストにまとめます。

そこで「textjoin関数」を用いて、「 , 」で区切りつつ1つのセルにまとめちゃいました。

 

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図4:生徒の回答をtextjoin関数で , 区切りしつつまとめました。

 

③ユーザーローカルのテキストマイニングツールを用いて「テキストマイニング」を行う

ユーザーローカルのテキストマイニングツールを利用して、先ほど1つのセルにまとめた文字列に関して「テキストマイニング」します。

 

テキストマイニングとは、文字列を対象としたデータマイニングのことである。通常の文章からなるデータを単語や文節で区切り、それらの出現の頻度や共出現の相関、出現傾向、時系列などを解析することで有用な情報を取り出す、テキストデータの分析方法である。(Wikipediaより)

 

このツールを利用して、生徒の意見を効率よく集計しちゃおう、という作戦です。

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図5:1つのセルにまとめた文字列をコピペして緑のボタンを押すだけで・・・

 

 

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図6:テキストマイニングができちゃいます!

 

こんな作業がクリック1回で、しかも無料でできるなんて・・・すごい時代になったものです。

 

 

さて、この画面でも既に word cloud ができていますが、

このままだと自由度が高くないので、もうひと押しします。 

 

 

 

④単語の出現頻度をダウンロードする

 word cloud の右上の方にある「単語の出現頻度をダウンロード」から、

単語の出現回数を Excel ファイルとしてダウンロードできます。

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図7:文字コードの違い、としか私にはわからないのですが・・・とにかくExcelファイルでダウンロードできます

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図8:こんな感じのファイルがダウンロードできます



Excel のアドイン「E2D3」を開いて、word cloud を選択する

E2D3とは、手軽にデータビジュアライズができる Excel のアドインです。

フォーマット(外枠)は決まったものの中から選ぶしかないですが、

中のデータを差し替えるだけで、簡単・お手軽におしゃれなグラフを作ることができてしまいます。しかも無料!

 

Excel 上で E2D3 を開き、word cloud を選択します。

 

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図9:Word cloud を選択し、「可視化する」をクリック

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図10:するとこのようなテンプレがでてきます

 

 

⑥図10のテンプレ内のデータを ④ でダウンロードしたものに差し替える

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図11:コピペでデータを差し替えると、すぐに反映されます。

ここまでくれば、中身を自由にいじり倒せる word cloud の完成です!

 

実際に中身をいじってみます。

 

例えば、A13のセルにある「こと」という単語は意味を持たない単語ですが、

図11の cloud の真ん中やや下に紛れ込んでしまっています。

 

そこで、Excel から「こと」とその出現回数(A13、B13セル)のテキストを削除すると、その変更が即座に word cloud に反映されます。

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図12:「こと」などの不要な語句を削除した後


また、今回の授業では時間の都合上しませんでしたが、類似語をまとめることも可能でしょう。


あるいは「〇〇と××って、まとめられるかな?」と生徒に投げかけ、そこから授業を展開していくことも可能でしょう。

 

ふせんでよく行われるブレインストーミングとそん色ないものができたのではないかと思います。

 

 

 

 

 

以上が、私の実践です。

 

手順は多いですが、慣れれば2~3分でできますし、

この過程を生徒に見せながら行うと、最後 word cloud ができたときは感嘆の声があがるかもしれません。

 

何かのお役に立てば幸いです。

 


 

ICT×道徳×Creativity ~「プレゼンテーション・デザイン」を通じた創造的な道徳の授業への挑戦~

こんにちは、数学科の教員のS_GUCCIです。

 

ずいぶん前に実践したことですが、

最近少しずつ「この先の挑戦」の展望が見えてきたので、改めてまとめさせていただこうと思います。

 

以下は「ICT」の要素と「Creativity」の要素を取り入れた、新しい形の「道徳」の授業の実践報告と、私(S_GUCCI)が感じている問題意識と今後の挑戦への展望をざっくばらんにまとめたものです。

 

 

・・・と言っても、「ICT」「Creativity」「道徳」

これらをどう組み合わせて授業を展開するのか、見当がつかない方も多いかと思います。

 

私は「プレゼンテーションをデザインすること」を通して、これら3要素を取りまとめた授業をすることに挑戦しました。

 

 

「え、デザイン!?センスないから無理無理!」

「デザインって、美術の時間/教員じゃないと教えられないでしょ?」

「デザインに関して、本格的な勉強したことある教員なんてほとんどいないよ・・・。」

 

 

そう思う方も多いかと思います。私も数学科の教員で、デザインに関して専門的な勉強をしていたわけではありません

 

ですが、私は声を大にして言いたい。

 

 

「デザインのハードルは低い」です。

 

 

【デザイン】という言葉を広辞苑で調べてみると

【~意匠計画。製品の材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・生産・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画。】

とあります。

すなわち、デザインとは、ある種の「戦略」なのです。

 

 

また【プレゼンテーション(present-ation)】は、

私は【自分の思いや考えを聴き手に「プレゼント(present)」する場】と考えています。

 

総じて私は、プレゼンテーション・デザインを次のように定義しました。

 

「どうすれば自分の考えが相手によりよく伝わるだろうか?」

聴き手への思いやりをもとに、工夫を凝らすこと。

 

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図1:プレゼンテーション・デザインの定義

(MIEE分科会での発表スライドより)

 

私が行った「プレゼンテーション・デザイン」の実践(中学2年生1学期に実施)では、

生徒が作ったプレゼンテーションを「(主に聴き手への)思いやり」の観点からフィードバック(添削)しました。

それを踏まえて生徒にはプレゼンテーションの内容をさらに改良してもらい、学年全員でプレゼン大会を行いました

 

「プレゼン大会を運営すること」に関しては、これを読んでいる先生方ならイメージがつきやすいかと思います。

ですが「プレゼンテーションを添削する」部分のイメージがつかない方が多いでしょう。

 

以下に実際に生徒が作成したスライドと、それを私がどのように添削したのか、

その実例を紹介します。

 

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【図2-1】生徒作スライドとその課題

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【図2-2】図2-1のスライドの添削後

 

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【図3-1】生徒作のスライドとその課題

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【図3-2】図3-1のスライドの添削後

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【図4-1】生徒作のスライドとその課題

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【図4-2】図4-1のスライドの添削後

 

ここで改めて言います。

「デザインのハードルは低い」です。

 

・・・確かに、デザインを専門的に深く学んではいないので、

本格的に勉強を進めていくと、ここまで単純なものではないのかもしれません。

また、「センス」が必要になってくる段階もあるのかもしれません。

 

ですが、デザインをまず始めるために必要となるのはセンスではありません。

思いやりの心です。

 

生徒が作るプレゼンテーションを見ていると、

ただ発表することに必死になり、聴き手の存在すら考えていないものが多いように思います。

 

そんな生徒たちのプレゼンテーションをよりよくするために必要なのは、

「聴き手への思いやりの心」なのではないでしょうか?

また逆に、プレゼンテーションを添削される機会を通じて、

「聴き手への思いやりの心」が育まれるのではないでしょうか?

 

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【図5】生徒作のスライドの中でも数少ない

「聴き手を楽しませようとした工夫」の例

また、本実践はZoomによるオンライン授業期間に行った。

 

ICT教育時代の新たな道徳の授業の形として、(自分で言うのもなんですが)大変興味深い実践だと思います。

 

 

また、この先の私の探究は、「STEAM教育」の「A=Art」に向かってます。

 

私のそもそもの問題意識は

「STEAM教育というものの、Aが過小評価されすぎている。」

というところです。

 

ただ、当初は

「なぜAが大事なのか」の説明もうまくできず、

「ただ何となく」そう感じていただけでした。

 

また、「Design」と「Art」の違いもわからず、

上で紹介した「Designの実践」を「Artの実践だ!」と勘違いしていました。

 

 

ですが最近、末永幸歩先生の『13歳からのアート思考』を読んで目の前がパッと開けました。

 

「Artとは何か」「なぜArtが重要なのか」「DesignとArtは何が違うのか」が見えてきたこと、

特に「ArtはDesignより上位の概念である」ことに気がついたことが自分の中で大きな衝撃になりました。

 

このことに関して、自分の中で論を組み立てている最中です。

Designのさらに上位の概念であるArtに関する実践ができたら、またまとめさせていただこうと思います。