ICT×道徳×Creativity ~「プレゼンテーション・デザイン」を通じた創造的な道徳の授業への挑戦~
こんにちは、数学科の教員のS_GUCCIです。
ずいぶん前に実践したことですが、
最近少しずつ「この先の挑戦」の展望が見えてきたので、改めてまとめさせていただこうと思います。
以下は「ICT」の要素と「Creativity」の要素を取り入れた、新しい形の「道徳」の授業の実践報告と、私(S_GUCCI)が感じている問題意識と今後の挑戦への展望をざっくばらんにまとめたものです。
・・・と言っても、「ICT」と「Creativity」と「道徳」、
これらをどう組み合わせて授業を展開するのか、見当がつかない方も多いかと思います。
私は「プレゼンテーションをデザインすること」を通して、これら3要素を取りまとめた授業をすることに挑戦しました。
「え、デザイン!?センスないから無理無理!」
「デザインって、美術の時間/教員じゃないと教えられないでしょ?」
「デザインに関して、本格的な勉強したことある教員なんてほとんどいないよ・・・。」
そう思う方も多いかと思います。私も数学科の教員で、デザインに関して専門的な勉強をしていたわけではありません。
ですが、私は声を大にして言いたい。
「デザインのハードルは低い」です。
【デザイン】という言葉を広辞苑で調べてみると
【~意匠計画。製品の材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・生産・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画。】
とあります。
すなわち、デザインとは、ある種の「戦略」なのです。
また【プレゼンテーション(present-ation)】は、
私は【自分の思いや考えを聴き手に「プレゼント(present)」する場】と考えています。
総じて私は、プレゼンテーション・デザインを次のように定義しました。
「どうすれば自分の考えが相手によりよく伝わるだろうか?」
聴き手への思いやりをもとに、工夫を凝らすこと。
私が行った「プレゼンテーション・デザイン」の実践(中学2年生1学期に実施)では、
生徒が作ったプレゼンテーションを「(主に聴き手への)思いやり」の観点からフィードバック(添削)しました。
それを踏まえて生徒にはプレゼンテーションの内容をさらに改良してもらい、学年全員でプレゼン大会を行いました。
「プレゼン大会を運営すること」に関しては、これを読んでいる先生方ならイメージがつきやすいかと思います。
ですが「プレゼンテーションを添削する」部分のイメージがつかない方が多いでしょう。
以下に実際に生徒が作成したスライドと、それを私がどのように添削したのか、
その実例を紹介します。
ここで改めて言います。
「デザインのハードルは低い」です。
・・・確かに、デザインを専門的に深く学んではいないので、
本格的に勉強を進めていくと、ここまで単純なものではないのかもしれません。
また、「センス」が必要になってくる段階もあるのかもしれません。
ですが、デザインをまず始めるために必要となるのはセンスではありません。
思いやりの心です。
生徒が作るプレゼンテーションを見ていると、
ただ発表することに必死になり、聴き手の存在すら考えていないものが多いように思います。
そんな生徒たちのプレゼンテーションをよりよくするために必要なのは、
「聴き手への思いやりの心」なのではないでしょうか?
また逆に、プレゼンテーションを添削される機会を通じて、
「聴き手への思いやりの心」が育まれるのではないでしょうか?
ICT教育時代の新たな道徳の授業の形として、(自分で言うのもなんですが)大変興味深い実践だと思います。
また、この先の私の探究は、「STEAM教育」の「A=Art」に向かってます。
私のそもそもの問題意識は
「STEAM教育というものの、Aが過小評価されすぎている。」
というところです。
ただ、当初は
「なぜAが大事なのか」の説明もうまくできず、
「ただ何となく」そう感じていただけでした。
また、「Design」と「Art」の違いもわからず、
上で紹介した「Designの実践」を「Artの実践だ!」と勘違いしていました。
ですが最近、末永幸歩先生の『13歳からのアート思考』を読んで目の前がパッと開けました。
「Artとは何か」「なぜArtが重要なのか」「DesignとArtは何が違うのか」が見えてきたこと、
特に「ArtはDesignより上位の概念である」ことに気がついたことが自分の中で大きな衝撃になりました。
このことに関して、自分の中で論を組み立てている最中です。
Designのさらに上位の概念であるArtに関する実践ができたら、またまとめさせていただこうと思います。